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あみだくじはどれぐらいランダムか

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あみだくじ。
紙とペンがあればすぐに作ることができるお手軽な抽選方法として知られています。
なにか物事を決めたいとき、あみだくじを使うという人も多いのではないでしょうか。

ふと思ったんですが、あみだくじって本当にランダムなんでしょうか。検証してみましょう。

あみだくじのルール

今更知っているとは思いますが、あらためてルールを確認しましょう。
1. プレイヤー数分の縦線と、各々の縦線をつなぐ横線が任意の本数引かれている。
2. プレイヤーは縦線の上端をひとつ選ぶ。
3. プレイヤーは選んだ縦線をたどり、横線とぶつかると横線をたどり、隣り合う縦線へ移動する。
4. 3.を繰り返し、下端まで到達したとき、その下端がプレイヤーの「抽選結果」となる。


まあ見ての通りですよね。この図だと、「4」を選んだプレイヤーは「B」が抽選結果になります。
モノによってはアタリが一箇所だったり複数箇所だったりします。
また、横線が複数の縦線をまたぐことや、ナナメ線、ループして上に戻る線などがある特殊ケースもありますが、今回は話が複雑になるので除外します。

何を調べるのか

あみだくじって本当にランダムなのか、気になりませんか。
例えばさっきの図だと縦線は8本ですが、すべての場所に1/8の確率で到達するんでしょうか。
線の偏りや本数による?
それはもちろんその通りですが、偏りがなければ1/8になるものなのでしょうか。

いくつかの具体検証

いまからあみだくじの確率について、調べます。
確率を検証するときは想像できる小さな数から試す、というのがセオリーです。
なのでいくつか具体例を出して検証していきましょう。

横線が0本の場合

横線が0本の場合を考えます。もはやあみだくじと呼んではいけない何かですね。

あたりまえですが真下にしか落ちません。確率100%で真下です。議論の余地はないです。

横線が1本の場合

続いて横線が1本の場合。今回の例は縦線を8本で考えているので、それをまたぐように以下の7種類のあみだくじがあり得ます。

非常に不毛ですね。これを見せて「あみだくじだぞ」と言われたらはっ倒すと思います。
とにかくこの場合に、それぞれの場所に行き着く確率は以下の通り。

真下に行く確率が5/7、すぐとなりに行く確率がそれぞれ1/7ずつです。

横線が2本の場合

さて、そろそろすべてを図示するのはつらいので確率の計算結果だけ出します。

2つとなりまで行けるようになりましたが、やはり真下の確率がまだ高いです。
これは、2つとなりに行く道筋よりも、真下に行く道筋の方が多いからですね。
一度も横道にそれずに真下に落ちる確率が(5/7)^2=25/49、一度横道にそれて戻ってくる確率が(1/7×1/7)×2=2/49、しめて27/49の確率で真下に落ちます。

文明の利器に頼る

さてそろそろ手計算の限界を感じるので、文明の利器ことExcel先生に頼りましょう。

横道が8本の場合

まずは確率ドン。こんな感じ。

さすがに8本も引けばいちばん端まで届きますが、確率はかなり低いです。やはり真下の確率が高い。

計算方法

線をどこに引くかをシミュレートして計算すれば、線の本数に応じてどこにたどり着くかを算出できます。
求めたい位置を基準にして、「左側に行く線が引かれている」「右側にいく線が引かれている」「真下に落ちる」の3通りですね。
これを線の本数分繰り返してあげれば良いので、式はこんな感じ。

ちなみに右端・左端はすこし特殊になるので注意してください。

もっと数を増やす

あとは再帰的に計算し続けるだけなのでExcel先生に活躍してもらいます。
もう数学に疎くなってしまったので、漸化式を解くのはやめときます。
だいたい8本刻みで表にしたのがこちら。

およそ真下有利なのは間違いないんですが、今回は縦線を偶数本で検証したため完全に対称でなく、やや左に偏って遷移しています。
その結果、途中から左端がもっとも高確率でたどり着くようになりました。

さらにグラフ化したのがこちら。

線の数がある程度多いなら、真下よりも少し壁際に寄ったほうが当たる確率が高いというすこし不思議な結果になりました。
平均化するまでの過程として、単に山が低くなるだけでなく、別の場所にピークができるのはなかなかおもしろいですね。
左右の中央あたりにある縦線は早く平均値へと近づくのに対し、左右端に近い線ほど平均からのブレが大きいようです。

その後の確率

この後も少しずつ平均化され続け、縦線8本に対して横線208本引けば、小数点第一位まで12.5%≒1/8で揃うという計算結果となりました。

結論

  • 数十本程度の横線では、あみだくじはランダムにならない
  • 平均的な確率を狙うなら中央がおすすめ
  • アタリの場所が分かっているなら、アタリに近い壁寄りがおすすめ

単純な正規分布へと落ち着くかと思ったんですが、なかなか思った通りの結果だとも、そうではないとも言える結果が得られました。
今後あみだくじを使う機会があれば、ギャンブル狙いで端を攻めてみようと思います。
それでは。

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