バーチャルユーチューバー

えのぐの収支発表を見た感想

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はじめに

先日、えのぐのクラウドファンディング開始を告知するライブ配信がありました。

その中で現状の収支に関する発表があり、結構衝撃的だったので、これについていま感じたことを記録しておきます。
この投稿は単なる自分の感想の記録であり、えのぐやバーチャルユーチューバーについて何かの意見や問題提起を行うわけではないことを最初に明言しておきます。

収支発表

さて、ライブとして配信した以上公開情報だと思うので画像で転載してしまいます。転載元は上の動画です。

支出が約580万円で、収入が約200万円。おおまかに月380万円の赤字。中々に凄い額です。
これを支えるために月額制のクラウドファンディングを始めますよ、というのがライブ配信の告知内容だったわけです。

率直な感想

毎月380万円の赤字というのは素直に驚きでした。
これまでもワンマンライブ等で、「なんでこんな豪華なパフォーマンスが出来ているんだろう、これに見合う額のチケット代を払ったとは思えない」という感想は抱えており、どう見ても赤字経営しているのは薄々察していました。
しかし、ワンマンライブが無い月の例でもこれだけの赤字というのは正直想定外で、せめて何らかの裏のパワーがあって日常配信はタダ同然で出来ているのだろうと考えていました。

そもそもえのぐの成り立ちを遡れば、憶測ですが株式会社イグニスがバーチャルの流れ(※これはバーチャルユーチューバー成立前、VRゴーグルの話です)に乗ってエンタメで何か仕掛けようとして岩本町芸能社を立ち上げ、「VRアイドル」という概念で攻めていこうというところから来ています。多分。
端的に言えば、(当時)上場企業の新規分野開拓だったわけです。そこには先行投資としての側面が大きくありました。
えのぐ結成前後のVTuber業界はだいたい似たようなものでした。バーチャルという未開拓の地で新しい商売を始めてデカくなるんだという心意気のもとで、大小さまざまな企業や団体が生まれては消えました。
その中で上場企業をバックに持ったえのぐは資金的に恵まれている方だったと思います。未来への投資という建前が整っていればなりふり構わずに集金しなくても良かった。
配信スタジオの設備も必要なら良いものを工面できたし、歌やダンスのレッスンも必要なだけ行えた。全ては未来への投資であり、当時からして収入で賄ってはいなかったでしょう。

そういう「必要な投資」を繰り返していった結果としてえのぐは今の実力とファンが居るわけで、これについて必要だったか不必要だったかは自分からは判断つきません。
投資結果がどうなったか、というと、現体制から言えば「えのぐ」というグループが今もこうして活動していることが成果であり、株式会社イグニスからすればラブライブという巨大IPを掴み「蓮ノ空」に参画しているのが成果でしょう。

今後どうなるべきなのか

当たり前ですが赤字は良くない。まずは単月黒字、それを達したなら累積黒字を狙っていくのは当たり前のことです。
では380万円の赤字をどう埋めるか。もちろん誰かに払ってもらうしかない。今の収入が月200万円なので、ざっと3倍必要です。具体的にどうしましょう。

  1. 今いるファン一人ひとりが、毎月3倍の額をえのぐに注ぎ込む
  2. ファンを3倍に増やす

大まかにこうなるでしょう。もちろん実態としては1と2の中間、ファンの単価を上げつつファン数も増やしていく、という方向になるかと思います。
今回の発表を受けてファンに動揺も走ったでしょうし、より気合を入れて応援するでしょうが、しかしそれで突然数が跳ね上がるかというと、さてどうかな…というのが素直な思いです。
だって結成からもう6年、その期間の積み上げが簡単に3倍にはならんでしょう。

一方当然、「支出を減らす」という方向もあるかと思います。

  1. 音楽ライブをより低予算なものにする
  2. レッスンの頻度を下げる
  3. スタジオを使う頻度を下げる

こういうことも、当然メンバーやファンも考えたでしょう。配信でも、Live2Dで活動しないのかと問われてきちんと返答していました。
上に書いたような内容で支出を減らすしてもただ活動を萎ませるだけで、萎んで適正な大きさで留まることができるならまだしも、延々と萎みつづけてゼロになってしまうのではないかという怖さがあります。
いま、日々の雑談配信などはスタジオを使わずに声だけというものもありますが、そういう配信が大半になり3D配信は1月に1度だけとか、音楽ライブは年イチあるかないかとか、そんな「よくあるVTuber」になってしまっては、えのぐが育ててきたスキルの大半は活かされないままです。

あとスタジオも、この頻度で使っていて月100万円で済んでいるのも、たぶんほぼ専有できる場所を抱えていて定額で場所代を払っているから、とかそういう状態なんだと思います。
たとえば配信で声をかけて頂いていた瑠璃姉もホームのスタジオを持っているので気軽に3D配信していますが、そのスタジオは法人が音楽ライブで借りようと思うと1回15万円を超えます
つまり、確かにスタジオ代100万円は高いけど、そこから下げようと思うと今のスタジオを引き払って配信1回10万円超えの世界に突入せざるを得ないわけです。たぶんね。

そういうあれこれで、もう削るに削れない、これ以上削るとアイドルとして活動するラインを下回る、というのがこの支出内容なのかな、と受け取りました。
なんたってワンマンライブは今回の支出に入っていない訳ですし。アイドルの場として毎月のVRide!をなんとか続けていってこれぐらいです、という話でしょう。

そもそもバーチャルをやめないのか

これも結構突っ込んだ話ですが、今回の支出のうち、「バーチャルだからかかる費用」というのも結構あります。
配信スタジオについても場所的な意味も技術スタッフ的な意味もあります。
ライブ制作も裏側でバーチャルだから必要な連携、必要なスタッフが居るわけで、生身のアイドルが生身で舞台に立つだけならもうちょい安いでしょう。
たとえば渋谷GRITは土日に借りるだけなら35万円、機材と技術者をフルセットで借りてもまぁ50万円てとこです。
初期のえのぐはVRアイドルとして、VRゴーグルを付けてライブに参加するんだよ、というコンセプトが少しありました。
そのコンセプトはえのぐ自体よりもVRゴーグルがあまり流行しなかったことから有名無実になってしまいました(技術的には蓮ノ空に継承されてますが、単にスマホ越しなだけでゴーグルを付けないですし)。
初期のころの「世界中どこに居てもバーチャルライブなら参加できるぞ」という話はもはやほぼ無くなり、えのぐのライブに行きたかったら現地の東京に行くんだよ、という状態です。
現地ライブしか無いのなら、もはや「VRアイドル」である必然性も薄く、生身のアイドルへと変化していくという道もあるかと思います。
まぁそれも、6年やってきたものを今更やめられないわなーーーーって感じですよね…。

結局どうなるんだろう

どうなるんでしょうねぇーー。
年末の配信だと「このままで続けられるのは6ヶ月」て話もあったように思いますが、これが今回のクラウドファンディングの額を含んでいるのかいないのか。
クラファンさえあれば黒字化できるという規模にも思えず、余命6ヶ月をどこまで延命できるかの病院代、というのが正直な気持ちではあります。
延命中に何か爆発して急激にファンが増えるなり大口のスポンサーが付くなりすればよし、そういう道を模索し続ける時期になるんだろうなぁという感じで。おわりです。

-バーチャルユーチューバー

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