今回、実に4年ぶりにVTuberのネットワークグラフを作りました。
前回の記事はこれ。
グラフ
まず実物を見せましょう。
これです。クリックするとオリジナルサイズになります。
オリジナルサイズでも満足できない人向けにpdfファイルも用意しました。
<PDF:27MB>
これは現在活動しているVTuberらしきアカウントについて、相互のチャンネルでコラボしたらしき人たちを線で繋いだものです。
コラボ判定の対象としたのは2024/1/1~2024/11/30の間の動画・ライブです。それより前や、12月以降の動画・ライブは対象外にしています。
またデータが膨大過ぎるので、チャンネル登録者数が10000人ぐらいいる人達以上に絞り込んであります。というかそれ未満の人のデータが取れていません。
また、日本語で活動している人たちに限って、海外勢はあえて省いています。
アイコンの大きさはコラボした人数の多さに依存していて、近くの界隈でよく見る人は大きく表示されるようになってます。
前回と比べて、人の入れ替わりが結構激しく起きたらしいのが分かるのと、精力的にコラボしている、”顔役”みたいな人が何人かいるのが見て取れます。
また、にじさんじ・ホロライブの2大企業は、それぞれ所属しているメンバーが多いので、メンバー同士のコラボだけでもかなりの規模になること、そのうえで箱外コラボに精力的なメンバーがちらほらいて、その人を軸に”外界”と接しているらしいことがわかりますね。
[追記分]
チャンネル登録者数5000人程度まで増やした版を作りました。
これもpdf版があります。かなり重いので気を付けてください。
<PDF:42MB>
5000人版はあまりに人が多すぎるので、アイコンの大きさをコラボ人数だけでなく、チャンネル登録者数に依存して多少伸び縮みさせています。
“たくさんコラボしてるけどあまり登録者数がいない人”と”ほぼコラボしていない超有名チャンネル”がだいたい同じ大きさになります。
上と配置が違うのはシミュレーションの結果なので意味はないです。
なおこのバージョンは調査したチャンネル数が約6000、グラフに表示しているチャンネルが2630あります。
チャンネル登録者数4000人以上、まで限定したうえでこの数です。
それ未満のチャンネルを含めると現状で活動されているVTuberの人数はちょっと想像もつかないですね。
―― 追記ここまで ――
作り方
ここからは作り方と苦労点について。
基本的には前回と同じで、
- VTuberの一覧を作る
- コラボ相手の一覧を作る
- 可視化する
という手順を踏むんですが、この4年で変わった事情が色々とありました。
VTuberの一覧を作れない
一番大きいのは、もうVTuberを一覧で取得する方法がない、ということです。
前回も使ったユーザーローカルさんのVTuberランキングや、Vtuber postさんのVtuberデータベースとかにはたくさん登録されてはいるんですが、抜けがある。それもかなり抜けがある。
つまりそういったまとめサイトの価値が薄れていて、最近のVTuberは登録を怠ってるんです。
なので、自力でVTuberを探す必要がありました。
そのため、種になるVTuberをまず調査して、それらのVTuberからよく言及されているチャンネルを探してきて、そのチャンネルがVTuberかどうかを目視でチェックする。
とにかく目視。数千チャンネルを目視。きっついです。
ほとんどの場合はBGMチャンネルだったり、カラオケ音源チャンネルだったり、ゲームメーカーの公式チャンネルだったりします。その中に埋もれているVTuberを探す。
なので、スクリプトを組んでチャンネルの概要欄だけを読んでザクザク選り分けていきました。
で、VTuberを目視で選り分けてみると、これがかなり難解。
いま、「VTuber」と「そうでない人」の境界ってものすごく曖昧です。
今回はVTuberを名乗っている人はVTuber、名乗ってない人は基本的に違う、としました。
基本的に、というのが難しいところ。
VTuberとその周辺には本当にいろんな人が居ます。
- はっきりとVTuberだと名乗っている2次元アイコン
- VTuberとは明言していないが「エルフ」や「ペンギン」など明らかに人外を自称している2次元アイコン
- 2次元アイコンだけどVTuberとは言っていないeSports界隈
- eSports界隈でもVTuberだと主張している人
- 2次元アイコンだけどVTuberとは言っていない歌い手界隈
- 3次元アイコンで、リアル/バーチャル両方の姿で活動する2.5次元VTuberと言っている人
- 自画像をアイコンに配信活動をしている2.5次元俳優(※2.5次元ミュージカルに出る人)
- VTuberをデザインしたことがあるイラストレーター兼活動者
これらのチャンネルたちを明確な基準でVTuber / VTuberではないと区別するのは無理です。
eSports界隈や歌い手界隈、あとASMR界隈など、一つの界隈でよく絡む人たちの中でもVTuberを主張する人としない人が混在していたりします。
VTuberのみなさんは、自分のコンセプトとかそういうのを説明する前にまず「私はVTuberです」と概要欄に明記するべきだと思います。
チャンネルの表記が増えた
昔はチャンネルを識別する文字ってチャンネルIDだけだったんです。
たとえば”UCoSrY_IQQVpmIRZ9Xf-y93g”みたいな。これはがうるぐらのチャンネルID。
もう数年前からそうなので、皆知ってると思いますが、これに「ハンドル」というのが増えた。たとえば”@GawrGura”とか。これもがうるぐらのハンドル。
で、動画の概要欄にはそのどちらも書くことができる。
なので、チャンネルIDで書かれてもハンドルで書かれても認識して、チャンネルを統合する必要がありました。
これも中々面倒で、というかハンドルの”@xxxx”がtwitterの記載と被っていて、twitterのことなのかYouTubeのことなのか判断するのが難しかったです。
グラフ化のソフトを変えてみた
前回はvis.jsというJavaScriptに頼っていましたが、今回はGephiというソフトウェアに切り替えました。
これは前回、アイコン同士の重なりを排除しきれなかったり、グラフの生成に非常に時間がかかっていたりしたので、それを解決できるソフトとして選びました。
非常に高速に動作しますし、アイコンの重なりも排除できます。
そのかわりグラフに画像を使うのが少しむずかしく、最新の0.10ではうまく行かなかったので0.9.2を手に入れて使うなど、細かい苦労はありました。
おわりに
というわけで数年ぶりにグラフを作ってみました。
現状の可視化として結構面白いものが作れたのと、月日の流れも感じることができ、結構苦労しましたが作って良かったです。