もくじ
いきさつ
ある日ちょっといいイタリアンでランチセットを頼んだとき、ふと飲んだエスプレッソが美味しかった。
エスプレッソというのは普通のドリップコーヒーと違って、専用の機械で高い圧力をかけて作る。
家にドリップコーヒー用のコーヒーメーカーはあるが、エスプレッソはわが家では作れない。
いやまてよ、エスプレッソは機械で作るということは、ドリンクバーで飲めるのでは。
そういえばカフェマシンにエスプレッソのボタンがあった気がするぞ。
ファミレスを片っ端から巡って、ファミレスのドリンクバーで美味いエスプレッソを探してやろうじゃないか。
採点と基準
今回は「苦み」「香り」「コスパ」の3つで評価していく。
苦みと香りは美味しいドリップコーヒーを★5つとして、さらに苦みは最大★10までとする。エスプレッソは苦いものだからだ。
コスパは一般的なランチにセットドリンクバーをつけたときの価格を基準に、最大★5で比べる。
まずエスプレッソの基準として、スタバで単品のエスプレッソを飲んでみた。
スタバは甘いドリンクが中心だが、そのベースはエスプレッソ。恐らく日本で一番エスプレッソを作っている飲食店だろう。
エスプレッソ単品を注文すると、本格的なエスプレッソマシンで時間と手間をかけて抽出してくれた。
エスプレッソ専用のカップもあり、店の根幹として大事にしているメニューであることがわかる。
以降、どのエスプレッソもだいたい見た目は同じなので、カップの写真は省略する。
香りは豊かで、味はとにかく苦い、まさしくエスプレッソ。
ドリップコーヒーはブラック派の自分でもこれをそのまま飲むのは罰ゲームだ。
これに砂糖をスティック2本加えると、苦くて甘い飲み物になる。苦みが消えずに甘みと同時に来るのが美味しい。
価格は単品415円。飲み放題ではないしランチも付けていないので、コスパは評価外としておく。
苦み:★★★★★★★★★★(強烈に苦い)
香り:★★★★★(よく香る)
コスパ:―(評価外)
各チェーンの評価
ではここから、各ファミレスを比べていこう。
一応プライバシーのために具体的な店名は伏せておく。
チェーン内でも店によってマシンや豆が違うこともあるかもしれないが、そこは納得いただきたい。
サイゼリヤ
言わずと知れた低価格ファミレスの代表格。学生の味方だ。
ランチメニューは500円から、セットドリンクバーは100円ととにかく安い。
カフェマシンはNUOVA SIMONELLIというメーカーのものに、サイゼリヤのロゴが付いたおそらく特注品。
エスプレッソを淹れてみると、泡もなく香りも弱い物が出てきた。
飲んでみると、濃いめのドリップコーヒーといった感じ。苦みは普通のコーヒーより強いが、これをエスプレッソと呼ぶのはちょっと…。
砂糖を入れるとただただ甘くなってしまい、苦みが分からなくなるのもドリップコーヒーのよう。
エスプレッソではないが、コーヒーとしては普通に飲める。
苦み:★★★★★★☆☆☆☆(濃いドリップ並)
香り:★★★☆☆(弱い)
コスパ:★★☆☆☆(悪くはない)
総合点:40点
エスプレッソを抜きにすればランチは安いしコーヒーも普通、でもエスプレッソはちょっと違うかな…というお店。
ガスト(すかいらーくグループ)
スタンダードなザ・ファミレスという印象のガスト。
店によって価格が変わるが、ランチおよそ600〜800円、セットドリンクバーは200円で、あわせて1000円といった感じ。
行った店が都会の狭い店だったこともあり、ドリンクバーがあまり推されていない感じがあった。
カフェマシンはWMFというブランドのWMF 1400 prestoが入っている。POPで豆のブレンドをアピールしていた。
さてエスプレッソだが、泡はあるが香りが少し弱い。
苦みはサイゼリヤより上で、エスプレッソと言っていい。でもブラックで飲めるレベル。
砂糖を入れると苦みがややぼやけるが、入れたほうが美味しい。
苦み:★★★★★★★☆☆☆(薄いエスプレッソ)
香り:★★★★☆(ある)
コスパ:★★★★☆(良い方)
総合点:60点
ちゃんと飲めるエスプレッソがあるお店。価格も標準だし日本中にあるのも良い。
ジョナサン(すかいらーくグループ)
ガストと同じ系列だが、値段が少しだけ上。とはいえランチメニューが800円、セットドリンクバーが200円で、やはり1000円程度で食べられる。
客層がややマダム寄りかな、という感じ。
カフェマシンはWMFのWMF 1500S。ガストのマシンより型番が大きいが、ブランドで分けているのか店の出店時期によるのかは不明。
こちらも豆のブレンドをアピールしていたが、ガストとはPOPが違ったのでブレンドも分けているかもしれない。
エスプレッソは泡も立ちしっかり苦くて香りもいい。
素直に美味しく飲めるエスプレッソだった。
砂糖を入れても苦みが残る…というか砂糖の溶けがすごい悪く、ほぼ甘くならなかった。
苦み:★★★★★★★★☆☆(ほぼエスプレッソ)
香り:★★★★☆(ある)
コスパ:★★★★☆(良い方)
総合点:75点
エスプレッソに期待して良いお店だと思う。すかいらーく系列の中では一番良かった。
夢庵(すかいらーくグループ)
系列の中でも和食寄りのお店。ランチの価格帯は1000円〜、セットドリンクバーは250円と、これまでの店の中では高めの値段設定。和食屋としての値付けだと思う。
カフェマシンはWMFのWMF 1400 presto、ガストと全く同じもの。
エスプレッソはマシンが同じだからガストと同じ味…とはならず、泡はあるものの香りが全くない。本当にない。
口に含んでも風味がなく、苦いだけの汁という感じ。
砂糖を入れても苦くて甘い香りのない汁。
とにかく豆の状態が悪い。和食屋でコーヒーを飲む人が少なくて豆が劣化しているのだと思う。
苦み:★★★★★★★★★☆(かなり苦い)
香り:★☆☆☆☆(全然無い)
コスパ:★☆☆☆☆(味がだめなので)
総合点:15点
和食屋でコーヒーに期待する方が悪い、ただそれだけのことだと思う。食べたものは美味しかった。
ココス(ゼンショーグループ)
王道ファミレスの一角。ランチの価格帯はドリンクバー付きで1000円未満から、というところだが、モーニングバイキングのある店が多いのもポイント。
カフェマシンはFRANKEのA800。他もいろいろありドリンクバーが充実している。
コーヒー豆はフェアトレードで、その時点でこだわりがすごい。エスプレッソとドリップコーヒーで焙煎を分けているようで、ドリップコーヒーは明らかに浅煎り、エスプレッソは明らかに深煎りだった。
エスプレッソは泡は薄いが香りが強く苦みもあって美味しい。でもまだブラックで飲める範囲なので、エスプレッソとしては少し薄い。
砂糖を入れてもおいしいが、やはり苦みがぼやける。
苦みが強くないと絶対許さん!という人でなければ、満足できる味だと思う。
苦み:★★★★★★★☆☆☆(薄いエスプレッソ)
香り:★★★★★(強い)
コスパ:★★★★★(良い)
総合点:80点
飲んでみるべきだし、ドリンクバーを堪能してほしい。値段もお手頃。
ジョリーパスタ(ゼンショーグループ)
ゼンショー系列のイタリアン。ランチは900円程度から、セットドリンクバーは200円で、ココスより1段階高い設定。
カフェマシンはWMFのWMF1500S+。なんとグループ内で別系列のマシンを採用している。
豆はもちろんゼンショーグループのフェアトレードコーヒー。特にエスプレッソは深煎りを強調していた。
エスプレッソは極めて苦く、香りも十分ある。もちろん泡もある。スタバと比べると一歩劣るものの、専門店で出せるレベルの味。
砂糖を入れて苦くて甘い飲み物として飲もう。
苦み:★★★★★★★★★☆(かなり苦い)
香り:★★★★☆(ある)
コスパ:★★★★★(良い)
総合点:90点
ドリンクバーのカフェマシンが出せる味としては最も良いと言っていい。ドリンクバーだけを目当てに来店を考えても良いぐらい美味しい。
ロイヤルホスト
言わずと知れたファミレス界の王。お高い値段で貧民を寄せ付けない。ランチはパスタでも1300円、ドリンクバーは300円。満足するには2000円ぐらい覚悟したいお店。
カフェマシンはWMFのWMF8000S、つまりすかいらーく系列と同ブランドの上位モデル。豆はレインフォレスト・アライアンス認証農園産、ココアはヴァンホーテンらしい。
エスプレッソはしっかり泡も立ち、香りも苦みもある。
特に苦みはかなりのもので、ジョリーパスタと並んでファミレスの中では2強。
これも砂糖を入れると苦くて甘くなり、かなり本格派。
まさにエスプレッソが飲める、と言っていい。
苦み:★★★★★★★★★☆(かなり苦い)
香り:★★★★☆(ある)
コスパ:★★★☆☆(価格並)
総合点:65点
美味しいエスプレッソだが、店の価格帯が高いので、このぐらいの味でないと困る。行くなら飲みたいが、エスプレッソ目当てに来店はしないなぁ、というお店。
デニーズ
7&i系列のファミレス。ドリンクバー付きのワンプレートランチは1000円だが、ワンプレート以外のランチメニューはプラス数百円、という感じでやや高め。
一時期はセブンカフェが飲み放題だったらしいが今は無い。
カフェマシンはFRANKEのA600。ココスと同ブランドの下位モデル。下位とはいえ中価格帯らしい。
エスプレッソは泡はあるが苦みが弱く、ブラックでも普通に飲める。香りもあり美味しいが、エスプレッソは名乗れない、美味しいドリップコーヒー。
苦み:★★★★★★☆☆☆☆(濃いドリップ並)
香り:★★★★☆(ある)
コスパ:★☆☆☆☆(エスプレッソではない)
総合点:30点
ドリップコーヒーとしては美味しい。サイゼリヤよりもいいと思う。でも価格帯が高い&セブン系列なので、これぐらいの味は期待の範囲内、という感じ。
番外
ここからはドリンクバーにエスプレッソが無かったファミレスなど。
不二家レストラン
不二家が出しているファミレス。ワンプレートランチが1000円、セットドリンクバーが300円と、少し高めの価格設定。
カフェマシンはWMFのWMF 1200S。すかいらーく系列と同じブランドのエントリーモデル。
エスプレッソが作れなくはないと思うが、店では提供されていなかった。
カフェラテ等は作れるしブレンドコーヒーは出せる。
ブレンドコーヒーは特に濃くもなく、香りも薄く、ドリンクバーとして並の品質、という感じ。
お食事も並だったし、やはりスイーツを食べないことには不二家を語ってはいけないのかもしれない。
ジョイフル
九州中心に展開する王道ファミレス。ランチはドリンクバー付きで700円となかなかの低価格。モーニングに至っては300円台でドリンクバー付きだ。
ジョイカフェという名前でドリンクバーを推しており、色々なマシンが並ぶ。
カフェマシンとしてはサンデンのCRYSTA Ⅱが置いてあった。ここにきて初めて見るブランドだが、どうも国産らしい。
マシンの都合でエスプレッソが出せないのだと思う。
コーヒーは香りも味も良く、ドリンクバー目当てとしては恐ろしくコスパが良い。でも、エスプレッソが無いんだよなあ。
まとめ
ファミレスで飲めるエスプレッソとしては、ジョリーパスタが一番良かった。個人的な感覚も含めての評価だが、高すぎず安すぎずの価格設定で本格的なエスプレッソが楽しめるのはありがたい。
他もいくつか健闘していたが、横にスタバがあるならコスパ込みでも間違いなくスタバを勧めるだろう。
サイゼリヤやデニーズはエスプレッソには期待できないが、普通のドリップコーヒーを飲む分にはドリンクバーを頼む価値はある。
今回、ファミレスを大量に巡って食事をした。最低点になってしまった夢庵を含めて、どのお店もお料理は美味しかった。
ファミレスの中でも価格帯とコンセプトで各ブランドの差別化が図られていたし、イタリアン中心で中価格帯のジョリーパスタが一番エスプレッソへのこだわりが強いのが分かった。
また、マシンが同じだから味が同じというわけでもなく、マシンと豆の状態が揃って初めて美味しいコーヒーになるのだな、ということが再認識できた。
では皆さん、良きドリンクバーライフを。