アイドル

アイカツと私とアイカツ武道館

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残酷な夢が夢で夢になるんだ

章タイトルはSignalize!からの引用。

先日、2018年2月27日~28日。アイカツ武道館が開催され、STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!はその歴史に幕を降ろすことになりました。
「ことになりました」、じゃあないんですよね。「ことになりました」とか、そういう他人行儀な言葉で語れるほど薄っぺらいモノではないので、ここに書き留めておきます。

STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!の卒業が告知されたのが2018年2月4日。正直、あまりにも唐突でした。
気持ちの整理を付ける余裕もなく、とにかく今月末には卒業するのだから見に行かねばならない、という思いだけでなんとか武道館に転がり込みその終焉を見届けました。
自分にとってアイカツ!とはなんなのか、そこから振り返らねばなりません。

熱く確かな世界動き始めた

章タイトルはダイヤモンドハッピーからの引用。

アイカツ!のアニメが放送開始したのが2012年10月。プリティーリズムで言えばディアマイフューチャーの放送中、ラブライブで言えばアニメ第一期の放送直前といったタイミングです。

私はといえば大学4回生で、研究室に配属されたりした頃でした。人生でもっとも時間を無駄遣いできる時期でした。
有り余る時間のほとんどをアニメやゲームに注ぎ込んでいた私は、当然のようにアイカツ!も見ることにして、当然のようにはまり込んでいきました。

放送開始当初、CGのクオリティがあまりよろしくない、という叩き方をする人が幾人もいました。
ゲームのモデルをそのまんま地上波放送に持ってきたかのような状態で、ポリゴンは荒く、影や細かい作り込みは全て貼り込み素材でした。
しかし、そのダンスのクオリティは最初から光るものがありました。
そもそも、「ゲームのモデルをそのまま地上波放送に持ってくる」というのができるのは、基本的なクオリティが高いことと、ゲームとアニメの間にギャップが無いということでもありました。
今の人には信じられないかもしれませんが、当時、いくらアーケードゲームとはいえ3DCGモデルを踊らせつつリズムゲームを行うというのは非常にハイスペックなものだったのです。そして、競合のプリティーリズムは、アニメのキャラクターデザインとは大きく離れた3Dモデルを採用していました。
そんな中、アニメとゲームのギャップが無いアイカツ!は非常に優れた後発ゲームだったのです。

私はゲームをするために近くのモーリーファンタジーに通い、ひたすらカードを集めに集め、環境最強と名高いゴスマジックコーデを揃えてプレミアムクロックサーカスを披露してはかわいいかわいいと悶えたものです。
そしてアニメを見れば解説キャラの星宮らいちが「あれはプレミアムクロックサーカス!!」と技名を叫び、アニメの中のらいちと感動を分かち合ったりしました。

なんてことない毎日が特別になる

章タイトルはカレンダーガールからの引用。

STAR☆ANISの話をしなければなりません。
STAR☆ANISは、アイカツ!に登場する劇中のグループ名でもあり、そして、アイカツ!の歌唱を担当する現実のアイドルグループの名前でもあります。
アイカツ!が他のアイドル作品と決定的に違う部分、それがSTAR☆ANIS、そして後に加わるAIKATSU☆STARS!の存在です。

そう、声優と歌唱担当が別れている。
これこそがアイカツ!がアイカツ!たる所以であり、唯一無二の真似出来ない個性でありました。
STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!はアイドル声優などという中途半端な存在でなく純度100%のアイドルでした。
それ故に、CDをリリースするとなれば様々な地方にリリースイベントに来てくれました。
当時関西に住んでいた私にとって、「リリースイベントで地元に来てくれる」というのは他コンテンツでは中々ない非常に稀有な経験でした。
そして、純粋なアイドルのパフォーマンスは、ドル売り声優のソレよりも完成度が高い。
当時ドル売り声優のパフォーマンスしか見ていなかった私は当然のように魅了されました。当然でした。

未来向きの今を君に見せるね

章タイトルはSTART DASH SENSATIONからの引用。

今更ですがアイカツ!シリーズは子供向けアニメです。
「子供向けアニメ」というのは、どういう意味だと思うでしょうか。
私は、子供向けアニメというのは、大人が子供に向けて伝える娯楽の形をした「教え」であると思っています。
まだ人生経験の少ない子供に向けて主人公たちの姿を見せて、「夢とはなんなのか」、「どう夢を追いかけるのか」「大切な友達のあり方」、「困難への立ち向かい方」、そういった教えを伝えるものが子供向けアニメなのではないでしょうか。

子供向けアニメに大人がハマる、というとき、主に2つのハマり方があります。
一つは「子供には無い視点で楽しむ」というもの。
そしてもう一つは「大人だからこそストーリーが強く響く」というものです。
自分にとってのアイカツ!は後者であり、ほとんどのファンにとって同様だと思います。
私は当時大学生でしたが、アイカツを見るときの私は子供でした。つまり、教えを受ける側の人間だったのです。

いつもより特別な私になれそう

章タイトルはBlooming♡Bloomingからの引用。

アイカツ!の放映が進むにつれ、私にはある時期がやってきます。シュウカツです。
私の熱い就職活動、シュウカツが始まったわけです。
関西在住だった私が関東の会社を選んだ一番大きな理由は、「アイカツ!のリリイベのような、ミニライブにたくさん行きたい」であったのです。
就職活動中もアイカツに励みました。当時、ラゾーナ川崎でアイカツショップが初めてオープンしました。
行きたくて仕方がなかったので、わざわざ川崎に近い会社の面接を受けに行ったのです。
SEGAです。落ちました。雑念がバレたのかもしれません。競合他社だし。
しかしSEGAも好きです。中途採用待ってます。

とにかく今私が関東で働いているのは、アイカツ!とSTAR☆ANIS、AIKATSU☆STARS!のおかげであります。

そらせないくらい綺麗だったの

章タイトルはSHINING LINE*からの引用。

そしてSTAR☆ANISは単独ライブが開催できるようになります。
渋谷公会堂。NHKホール。TOKYO DOME CITY HALL。パシフィコ横浜。
いろんなところに行きました。途中からはAIKATSU☆STARS!も加わり、一層賑やかになりました。
やはり関東に勤めて良かった、と日々思いました。

先述しましたが彼女たちは歌唱担当であり、純粋なアイドルです。
そのパフォーマンスの真価はやはりライブでこそ発揮されました。
華やかな衣装。複雑で美麗なダンス。複数人でも乱れぬ連携。
アイドルだからこそできるライブでした。

渋谷公会堂のひたすら突っ走る暴走特急のようなライブは自分の中で未だに伝説です。
お願いだからもっとMCを入れてくれと懇願したのは後にも先にもアレだけでした。

全力で走るよ 笑顔を届けたいから

章タイトルはLet’s アイカツ!からの引用。

気がつけばアイカツ!が始まってから5年経ち、アイカツ!はアイカツスターズ!になり、アイカツスターズ!も2年目が終わろうとしています。
5年半の間にいろいろなことがありました。アイカツ!開始当時の小学生はすでに大学受験を控えているころでしょうか。

そしてアイカツスターズ!の終了が発表され、そして、STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!の卒業が発表されました。
アイカツ!は、STAR☆ANISは、AIKATSU☆STARS!は、ここが頂点なのかもしれません。
そういう思いの中でアイカツ武道館に行きました。

最後だという実感は薄かったですが、やらねばならないことが、ファンにも演者にもたくさんありました。
一日目のラストブロックに入るころには、本当に卒業してしまうのだという実感が湧いてきて、普段は大声を張り上げるはずのSHINING LINE*ですら声援が小さかったように思います。
二日目が終わろうというときには膝から崩れ落ちるファンがそこかしこに居ました。自分も呆然と座り込むことしかできませんでした。

アイカツフレンズ!のことを考えたとき、自分の中でアイカツフレンズ!をアイカツ!やアイカツスターズ!の続きだと捉えることはまだ難しいです。
STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS!の居ない作品をアイカツシリーズとして迎え入れることに抵抗があります。
それは上で繰り返してきたとおり、彼女たちの純粋なアイドルとしてのパフォーマンスが、それこそがアイカツ!であると思うからです。
いくら声優が歌やダンスが上手いと言っても、本来の職業はアニメに声を吹き込むことです。
新しい子達の実力がたとえどれほど高くあろうとも、STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS!とは種類の違うモノです。
STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!の卒業とともに、私自身も身を引き、次の時代のコンテンツは次の時代のファンに任せるべきなのかもしれない、と思っています。

さあ行こう 光る未来へ ほら 夢を連れて

章タイトルはアイドル活動!からの引用。

「うん、うん、それもまたアイカツだね。」
アイカツとは、アイドル活動とは、アイドルにだけ許された特別なものではありません。
自分がアイカツだと思ったものはすべてアイカツです。
そしてアイカツは、子供達に向けた未来への道標であります。

たとえアイカツ!が作品として終わるとしても、STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS!が卒業するとしても、アイカツ!で育った私達が立ち止まるわけにはいかない。
アイカツ!から受け取ったものを投げ捨ててここに留まるわけにはいかない。
前に進むことこそが私達に今できるアイカツだと信じて、なんとか明日も生きていこうと思います。

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