もくじ
前置き
宝くじ、買ってますか?
ギャンブルを語るとき、往々にして「期待値」や「還元率」という言葉が使われます。
例えば2019年のサマージャンボ宝くじの期待値は142円で、還元率は47%なんですよ。
でも宝くじって、1等が極端に高額で、他の当選金額ってあんまり大したことない。
そういうクジに対して期待値なんか求めても、どんな意味のある数値か分からない。
もしもサマージャンボ宝くじの1等が1兆円だったら期待値は10万円になるんですけど、これは「あなたが宝くじを1枚買ったら10万円当たる」という意味ではないです。1等の人が、1兆円もらえるだけです。
だから、期待値や還元率なんていうものを、クジを買う側の人が気にしてもしょうがない。
宝くじの中央値、出してみましょうよ。
中央値ってなんだ
数学にくわしくない人もいるかもしれないのでおさらいです。
まず、「期待値」っていうのは平均値の一種で、「宝くじを1枚買ったら、平均してこの金額当たりますよ」という数値です。
でもここの「平均して」という部分で、前置きでも書いたように1等の当選金額とかもすべて含んで数学的に平均しています。なので、宝くじのような、数値に極端に差があるものに対して利用しづらい。
で、「中央値」っていうのは、「宝くじを1枚買った人が100人居たら、金額順に並べて50人目の人はこの金額当たってますよ」という数値です。
宝くじのような、数値に極端に差があるものに対してなんらかの傾向を掴むのに向いています。
実際に出してみる
中央値っていうのは、「試行」を並べたときのちょうど半分の場所の値のことです。
つまり、計算すればすぐ出せる期待値と違って、試さなきゃ出せない。
というわけでシミュレーションするプログラムをちょちょいと書いて出してみます。
シミュレーション設定
以降、すべて2019年のサマージャンボ宝くじの当選金額・確率を基にしています。
1等が5億円で20枚入っていて、前後賞と合わせて7億円です。
シミュレーションプログラムを簡単にするため、全部バラで買っていることにします。
バラで買うので、基本的に前後賞と一緒に当たらないですし、10枚買っても6等が当たらないことがあります。
宝くじを1枚だけ買ったとき
まず1枚だけ宝くじを買います。
当然、当たらないことのほうが多いので、中央値は0円です。当たり前ですね。
10枚買ったとき
10枚買います。
連番なら6等が必ず当たるようになりますね。
バラで買ったときも、中央値は300円です。
せっかくなので、試行の結果をグラフにしてみましょう。縦軸が当選金額です。横軸が50%のところが中央値になります。
うーん、全然当たらないですね。宝くじの購入費3,000円を取り返せているのは上位10%だけ、ということになります。
グラフがギザギザしているのは購入枚数が少ないから、当たるか外れるかの差が大きいせいですね。
100枚買ったとき
そろそろ結果だけにしましょう。
中央値は5,700円です。
99%の人は原資3万円を回収できてません。
ちなみに、10万人中3人が1等を当ててます。
1000枚買ったとき
だんだん悲しさがこみ上げてきましたね。
中央値は60,300円です。
93%のところに「10万円当てた人の壁」があって、99.6%のところに「100万円当てた人の壁」があります。
99.5%の人が損をします。
10000枚買ったとき
中央値は658,000円です。
例によって99%以上の人が損をしていますが、そもそも期待値通りに収益が出ている人が3%未満です。
まとめ
というわけで色々シミュレーションしてみましたが、宝くじで得をすることがいかに難しいか分かったと思います。
そもそも期待値ですら相当低いのに、中央値はさらにその半分以下。
大量購入すると、宝くじの中央値は1枚あたり60~70円ぐらいに落ち着くようです。
一攫千金を夢見るのは良いことですが、当選確率はしっかり認識してから買うようにしたいですね。