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最近学んだ3D関連の用語のまとめ

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趣味でフォトグラメトリーを始めて約2ヶ月。学んだ用語を個人的にまとめたいと思います。
本格的に知りたい人は各自ググってください。

フォトグラメトリ

広義には、写真を用いた測量技術全般のこと。
狭義には、写真を用いた3Dモデリング技術のこと。SfMとほぼ同一。

SfM

Structure from Motion。あまり正式な和訳が見当たらないが、「運動からの構造復元」らしい。
一般にはフォトグラメトリと同一。
数十枚~数千枚の写真から、おおよそ以下の手順で3Dモデルを復元する。

  1. 各写真から特徴点を抽出する。
  2. 写真同士をマッチングし、写真を撮影したカメラの位置を推定する。同時に、マッチングした特徴点の三次元座標を”疎”な点群とする。
  3. カメラの位置と疎な点群の情報をもとに、各写真から改めて”密”な点群を作成する。
  4. “密”な点群をもとに、メッシュを作成する。このときのメッシュはテクスチャ情報を持たない。
  5. メッシュの補正処理を行い、なめらかなメッシュにする。
  6. メッシュにテクスチャを貼り込む。すなわち、各カメラからメッシュに写真を投影して、投影結果をテクスチャとする。

フォトグラメトリと区別して用いる場合、上記手順の1~2、3までを指して「SfM」と呼び、1~6まで行ったものを「フォトグラメトリ」と呼ぶ。

写真を用いた特徴点抽出を起点とするため、特徴点の少ない物体のモデリングに不向き。また、点群の精度が安定しない。
測量に用いる場合、ドローンを使った空撮が行われる事が多い。

点群

Point-Cloud。点の集合のこと。
3D用語としては「3次元空間上に存在する点(頂点)の集まり」のこと。
フォトグラメトリやレーザースキャンにおける中間成果物で、通常、メッシュを直接取得するのではなく、まずは点群を取得してからメッシュへと変換する。
フォトグラメトリでは写真から推定して得る。レーザースキャナでは1点1点をレーザーで測量して得る。
また、スマートフォンのAR機能でも点群を利用できる。

メッシュ

ポリゴンメッシュのこと。
三次元空間上の頂点・辺・面から成る3Dモデル。

レーザースキャン

レーザーを用いた測量技術・3Dモデリング技術のこと。
一般に3Dモデリング用途ではLiDARが用いられる(と思う)。

LiDAR

Light Detection And Ranging。光を用いたレーザースキャン技術、およびその測量機器のこと。
レーザー光を照射し、反射した光が帰ってくるまでの時間を測定することで距離を測る。
3Dモデリングの他、SLAMにも多用される。

単純には、1つのレーザー素子を回転しながら放射することで全方位の測量を行う。
二次元的な回転しかしない機器と三次元的な回転もできる機器に分かれる。
iPhoneやiPadに搭載しているLiDARは、複数のレーザー素子を面上に配置・回折させて面状のドットパターンを投射して測量しているらしい。

一般にはLiDAR単体では色情報が取得できないため、同時にカメラ撮影で色情報を得て合成することが多い。一方で反射光の情報から表面の材質を推定できる機器もある。

レーザー光の反射に頼るため、長距離の測量が不得手。レーザー出力次第で到達距離は変わる。
iPhoneの場合は5m程度、業務用の高額機器だと数十m~1km程度。宇宙用途では、はやぶさ2搭載のものは数十kmの測定実績あり。
フォトグラメトリと比較して点群の精度が安定している。

リトポロジー

メッシュを再構築する作業のこと。
一般にフォトグラメトリやレーザースキャンの成果物は、抽出した点群に基づく高密度なメッシュになる。
3Dモデルを他の用途に用いる場合、軽量なメッシュに変換したり、人体のように変形する3Dモデルであれば変形に適したポリゴン分割を行うなどの作業が必要になる。
単に軽量化するだけであれば機械的に行っても良い。

3D測量

地形や構造物を三次元的に測量すること。
主に土木工事や大規模建築の現場で行い、工事現場の詳細把握に用いられる。
地上からはLiDARを用いたレーザースキャン、空中からはドローンカメラを用いたフォトグラメトリを行い、その結果を合成することが一般的。

すなわち、レーザースキャンやフォトグラメトリの主な顧客は、土木・建築分野だということ。

デジタルツイン

デジタル空間上の”双子”を指す用語。
物理空間上にある物体や出来事をセンシングしてデジタル空間で再現することで、物理空間を確認しなくても現状把握や将来の予想を行えるようにする、という技術の総称。
たとえば、不動産会社が賃貸物件を3Dモデリングし、VR空間上で内見できるようにする。
あるいは、工場の生産ラインに様々なセンサーを取り付けたり入出荷の記録を取ることで遠隔監視を行うなど、3D技術に限定した用語ではない。

SLAM

Simultaneous Localization and Mapping。
ロボットや自動運転車に関する技術用語。「自己位置推定と環境地図作成」。
LiDARやステレオカメラを搭載し、周辺状況を確認する技術のこと。

AR

Augmented Reality、拡張現実。
現実空間に重ね合わせるように3Dモデルを表示するなどして、仮想的な情報を付与する技術のこと。
現実空間への重ね合わせのためにデバイスの位置推定が必要で、カメラを用いたSfMによる視覚的な位置推定と、ジャイロセンサー等による位置推定を組み合わせていることが多い。
この位置推定もSLAMの一種?

周辺マッピングが十分にできていれば、オクルージョンを行うなどの効果も得られる。

オクルージョン

ある三次元物体が、別の三次元物体を隠すこと。
3Dモデル同士のめり込みではなく、単純に前後関係によって隠れている状態を指す。

特にAR関連では、「現実の壁や机によって、仮想の3Dモデルの一部が隠れる」ことを特にARオクルージョンなどと言い重要視する。
現実では当たり前に起きるが、ARで再現すると難易度が高いことの一つ。

メタバース

コンピュータ上の仮想空間や、仮想空間を用いたサービスのこと。
2022年現在、3Dの仮想空間に複数人でログインして交流できるサービスを指すことが多い。

仮想空間には現実の場所を再現したものや、現実の物体をモチーフにしたものも多く、フォトグラメトリやレーザースキャンが活用できる可能性がある。
ただしフォトグラメトリやレーザースキャンは単に3Dモデリング技術であり、それ単体では動きのない3Dモデルを生成するだけであることに注意。

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