バーチャルユーチューバー

TUBEOUTとVサマとINSPIXをくらべてみよう

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まえがき

最近立て続けにVTuberのイベントに参加して、色々なプラットフォームに触れました。
せっかくなので体験を覚えているうちに比較してみようと思います。
以下、体験順に紹介します。

TUBEOUT!SESSIONS vol.2


TUBEOUT!SESSIONSはリアル劇場を使ったVTuberイベントでした。
今回、Marprilが参戦するということで見に行ってきました。
トークありライブありで面白かったです。

実際のライブの様子はこんなかんじ。

それぞれのポイントをまとめていきます。

盛り上がり

やっぱりリアルの会場は場の空気からして「イベントに来た!」という雰囲気がひしひしと感じられます。盛り上がりますね。
しかし、スクリーン越しのイベントなので、最終的に「触れ合える」という感覚は無く、次元の隔たりがありました。

長さ

リアルイベントにしては短かったですが、他のイベントと比べれば長め。もうちょっとライブパート欲しかったです。

開演前後

物販あり、コラボドリンクありなので、会場に着いてから実際に開演するまで気分は盛り上がりますよね。
開演前ムービーとかあるとより良かったんですけど。影ナレは入りましたね。

双方向感

劇場にカメラが入っていて、音声や映像はほぼリアルタイムで伝わっていたようです。
スマホを使った参加型コーナーもあり、リアルタイムでイベントに参加している、という感覚を強く感じました。

美麗さ

単純な映像な美麗さという意味ではさすがに綺麗でした。
とはいえ劇場のスクリーンで見ているので、当然のレベルだな、という感じで、特段スゴいともダメだとも感じませんでしたね。

VRらしさ

演者がVTuberなのでそういう意味では当然VRなんですが、それを除けば、「らしさ」というような内容は無かったです。
ライブの演出面もリアルライブの模倣に留まっていましたし。
バーチャルらしさといえば、谷田が壁抜けの術を披露しちゃったり、Marprilが頻繁にめり込んでデスピサロ状態になっていたぐらいでしょうか。それは事故ですね。

参加しやすさ

今回は東京と名古屋の二会場同時中継でした。東京・名古屋以外の民は遠征しないと参加できなかったので、どうしても評価低め。
リアルイベントだと本会場だけの開催なんて当たり前、という言い方もできますが…。

その他感想

どちらかというとリアルイベントの延長にあるイベントだったので、本来はリアルイベントのライブビューイングあたりと比較すべきかな、という気がしました。
そういう意味では、「まだリアルイベントには勝てないな」というクオリティだったのと、いまより大きなイベントを開こうとしたときに「映画館より大きなハコをどうやって調達するんだ」という疑問があります。

Vサマ!


Vサマ!はVARKが提供するVRライブイベント。Oculus Go / Questがメイン会場で、ニコ生でも視聴できました。

まりなす(仮)の様子。

盛り上がり

ライブの楽曲のクオリティは非常に高く、純粋にライブとしての盛り上がりが強かったです。
ただやはり、家で一人で見ているという感覚を払拭しきれなかったですね。

長さ

1公演1時間、各演者で2曲ずつ、という配分。
ライブイベントとしてはかなり短い方ですが、VRゴーグル付けてるとかなり疲れてくるしゴーグルのバッテリーも無くなってくるので、これぐらいが限界なのかな、という気はします。

開演前後

ぶっちゃけ何もないです。何もないので、何も言いようがないです。
おうちでゴーグル付けて待機する以上のことはありません。

双方向感

定型文のチャットが送れるのと、ギフトをVR空間上に投げ入れることができます。
レスポンスがどれぐらいもらえるかは演者次第ではありますが、限られたMCタイムではなかなかアドリブ効かせられないってパターンが多いようです。

美麗さ

自分はOculus Questで見たので、Questで出せるクオリティのグラフィックが精一杯。
とはいえ、演者のモデルはたぶんポリゴン数減らすなどの処理は入っているハズですが、体験上は高品質に見えたので、「あーグラフィック悪いなー」と思うようなことは無かったです。
どちらかというと演出面で、「グラフィックにコストを割かない演出多いな!」って思いました。

VRらしさ

これはかなり強かったです。
いま「#Vサマ」でtwitterを検索すると動画がゴロゴロ引っかかるのでそれを見てほしいですが、上でも紹介したとおり、演者が壇上から降りてきて目の前でアクションしてくれる演出があります。
この距離に来てくれるのはVRならではだな、と感心しました。
一方でこういう演出が入ることもあり、「あっ、ライブパートは事前収録なんだな」というのに気付いてしまったりしました。

参加しやすさ

VRゴーグルさえあれば世界中どこからでも参加できるというメリットと、肝心のVRゴーグルはまだ普及しきってない、というデメリットがあります。
ニコ生でも中継があったのでそちらを見るというのも手ですが、やはり演出を考えるとVRゴーグルで見るのが王道だと思います。
しかしVRゴーグルと言ってもPCVRではなくOculus Go / Questにしか対応していないなど、まだまだ門戸が狭いです。

その他感想

やはり肝心のライブパートが事前収録丸出し、というのは、微妙にテンションが下がる部分ではあります。ライブ演出のためには仕方ないかな、という気もしますし、リアルタイムでライブすることと何が違うのか、言語化が難しいですけど。
ギフト投げや定型チャット機能は割と「イベントに参加している」感が出る一方で、それらに対するレスポンスが返ってきづらいので、事実上は単方向でしかコミュニケーションが図れてない気がします。
つまり結局のところ、「Youtubeのプレミア公開機能をVR空間上に持ってきたもの」という認識がいちばん実態に近いです。
ちなみにQuestで見ても3DoFでした。酔いやすいので改善してほしいですね。

INSPIX


INSPIXはパルス株式会社が提供するスマホVRライブプラットフォームです。
先日こけら落としライブが開かれました。

様子はこうです。VRモードにしたスマホ用のVRゴーグルにはめ込むことで、立体的に見ることができました。

ちなみに自分は段ボール製のハコスコを使ったので、両手でずっとゴーグル持ちながら見ていました。

盛り上がり

これもVサマと同じく、「結局は俺は家で一人で見ている」という感覚が残ったため、リアルな会場で見るライブと比べると一段落ちる盛り上がりでした。
周りの観客のテンションの上がり方もわからないですしね…。

長さ

約30分ほど。Vサマと比べてもさらに短いです。
まぁ、今後より長いライブがあるかもしれないですし、長さについてはいくらでも改善できると思うんですが。

開演前後

開演前に影ナレ3回。
終演後にお見送り会(後述)有り。
かなり充実していると思います。正直お見送り会の仕組みを導入してきたのはスゴいです。

双方向感

観客に具体的な他のアカウントがアイコン付きで反映されていました。要はclusterみたいなものです。
さらに「サイリウムの色が変えられて、周りの観客も同期している」というところで双方向感があります。
とは言えサイリウムの色でしかアピールできる部分はなく、声が出せるでもなく、ギフトが投げれるでもないです。
しかし「お見送り会」という奥の手があり、まさかの「ライブ終了後に、ファン一人ずつに声をかけてくれる」というトンデモギミック。
このおかげで、「実際にライブに行った」「ファンが一人ずつ別の体験をした」という感覚がありました。

美麗さ

まぁスマホで演出できる程度のVRライブですから、グラフィックのクオリティはお察しですよね。
…というはずなんですが、実際にはかなり見栄えの良いライブ演出がモリモリ入っていて、さらに演者のモデルもしっかり綺麗なので、「とてもスマホとは思えない」レベルのグラフィックを見ることができました。

VRらしさ

上の映像を見てもらえばわかりますが、ライブ演出方面でかなりVRらしさを出してきています。
空間上に図形を飛ばしたり、ステージを宙に浮かせたり、他プラットフォームで披露された演出を吸収してスマホ上できちんと再現できており、「バーチャル空間ならでは」という演出が楽しかったです。
個人的にはステージが夏の海辺に変わったときにハレーションが起きるところが芸が細かくて好きです。

参加しやすさ

なにせスマホがあれば見れるので、参加のハードルはダントツで低いです。
もちろんスマホにはソコソコのスペックが要求されますが、自分はPixel 3aで全く何も問題なかったので、最新機種であれば特に高いモデルを買う必要は無いかと思います。

その他感想

「スマホでここまでのクオリティが出せるんだな」という驚きが強いです。
「スマホだから」という贔屓目は多少あるとは思いますが、専用のVRゴーグルとほぼ遜色ないコンテンツが提供できていると思います。
ちなみに両手でゴーグル持っていると手は空かないし画面はブレるしでひどいので、新しくスマホ用ゴーグル買う人はせめて頭に固定できるものを買うといいです。

全体を通して

結局いまのところどのプラットフォームも、現実のアーティストが現実のライブ会場で行うライブに勝てていないと思います。
どれも面白いイベントでしたが、正直まだ、現実のライブ体験の方が面白い。
今回の3つの中で一番楽しかったのはどれか、というとTUBEOUTかな、と思うんです。
それはやっぱり、実際に会場に足を運んで他のファンと一緒に騒げたことと、公演時間が長かったことによるんじゃないかな、と。
日常と非日常の境目というか。
家から出て、電車に乗って、会場に入って、という段階を踏んでいくことでゆっくりと非日常に入れる。日常に戻るときも、同じ手順を逆に踏んでいく。
家でVR体験するときも多分同じなんですよ。
「ゴーグル付けたらすぐライブ!非日常ドーン!」っていきなり突きつけられても、気持ちがついて来るまで時間がかかる。ユーザーをどうやって非日常に連れて行くか、というところを丁寧に考えてほしいかな、って気がしました。

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