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シオマネキとライオンのジェンダーフリー

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たとえばシオマネキとライオンが、ある日突然人間並の知能を持ったとします。
シオマネキとライオンが人間と同じように会社をつくり、給料をもらって生活するようになったとします。
シオマネキにはシオマネキの社会が、ライオンにはライオンの社会が、人間には人間の社会がそれぞれできたとします。

そしてある日、シオマネキの社会とライオンの社会で、ジェンダーフリーの問題が出てきたとして。
シオマネキとライオンはジェンダーフリーにどう向きあうんでしょうか。

シオマネキ、というのはカニの一種で、片方のハサミが極端に大きいんです。もう身体の半分ぐらいがハサミ。
ですがこの特徴はオスだけのもので、メスは両方のハサミが普通に小さい。

「オスとメスでハサミの大きさが違う」というのは生物学的な性差なので、ジェンダーフリーの論点にはなりません。
でも例えばシオマネキが電車通勤したとして、オスはメスよりも明らかに場所を取る。エレベーターでも場所を取る。
社会全体が「オスとメスはサイズが違う」という前提で作られるでしょう。
そんななかでシオマネキのメスが、「オスだけ広々と場所を使うのは性差別だ」と言ったとき、ジェンダーフリーの観点で、シオマネキの社会はどこまで性差を無くしていけるんでしょうか。
もしかして、シオマネキのオスはハサミを小さくする手術が義務付けられてしまうんでしょうか。

ライオン、はもちろんご存知でしょう。
フサフサしたタテガミはオスだけの特徴です。そこはタテガミがあるかないかの問題だから良いとして。
ライオンのオスは基本的に狩りをしません。一夫多妻制で、多頭のメスが獲物を狩ってきて家族で分配します。
たまにオスが狩りに参加することもありますが、基本的にメスだけで狩りをして、しかし食料の取り分はオスの方が多いです。
ここで知能が発達したライオンが、ほとんどサラリーマン(サラリーライオン)になって会社でパソコンをカタカタする仕事に就いたとします。
ここでオスのライオンが「会社で仕事をするのはメスライオンの役目だ」と言ったとき、これはジェンダーフリーの観点になるんでしょうか。
メスが「狩りじゃないんだからオスも会社で仕事すべきだ」と言っても、オスは「ライオンは知能が発達する前からメスが働いてきた」と返します。
ライオンのメスは、この主張を受け入れるべきでしょうか。

…というようなことを最近たまに考えています。
結局シオマネキとライオンの社会はどうあるべきなのか。
知能が発達する前から存在した肉体的・社会的な性差はどこまで解消されるべきなのか。
人間のジェンダーフリーが許容すべき性差は一体どこのラインなのか。
どう思います?

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