バーチャルユーチューバー

ゼ■プロ解散を受けて思ったこと

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バーチャルユーチューバー事務所としては比較的古い方に属するZERO Projectが解散を発表しました。

自分個人としては熱心に追いかけていない事務所ではあったものの、比較的クラスタが近くて存在感があったので、思ったことを記録しておこうと思います。
ちなみに、紡音れいと栞鳳ぴよの発表配信を後追いで見てから書いています。

事務所の運営がムチャクチャ

もともと割と、宣言したのに長期間果たされていない物が多く、Twitterなどで所属メンバーが運営をナジっている姿を見ていたんですが、解散発表を期に裏側の暴露が少しありました。
公式からの発表はこれです。

さらに栞鳳ぴよの配信で暴露された内容としては、以下のものがあります。

  • 運営に対して、キャラデザ絵師(いわゆる”ママ”)の新規絵を使った新たなLive2Dモデルを発注する約束をしていた
  • しかし数ヶ月に渡り「絵師が忙しくてスケジュールがとれない」などとのらりくらりとかわされた
  • 最終的に、実は最初の約束の時点でVTuber事業の縮小が始まっており、その都合でそもそも絵師への連絡すら行っていなかったことを伝えられた

これに加えて栞鳳ぴよいわく、他メンバーで果たされなかった約束事項も似たようなものだと思う、という旨の発言もありました。

表に出した告知も、裏でメンバーと約束した事項も、あまりにも対応が不誠実だと思います。
これがこの事務所に限った企業体質である、というのなら良いですが(良くないですが)、このような対応を取るVTuber事務所には個人的に過去心当たりがあり、一社だけの体質とは思えません。
VTuber事務所というのはこのような対応が当たり前に行われる業界だ、と認識したほうが良いように感じます。

中小規模のVTuber事務所は経営がすでに破綻している

はっきり言って解散の理由はお金でしょう。
VTuber事業が想定より儲からず赤字だ、そういう理由で辞めるんでしょう。妄想を働かせるまでもなく、9割9分そうとしか思えません。

演者には専業VTuber、兼業VTuber、いろいろ居ると思います。
VTuberとしての配信活動は多くても毎日数時間もあればファンは満足しますし、配信時間が長ければお金が稼げるという類でもないので、VTuber活動をしながら他の手段で生活費を稼ぐのは十分に可能なことです。

一方で企業運営する社員はふつう一社だけに勤めているでしょう。
会社は社員を雇っている以上、社員に対して契約した給料を払わなければならない。
VTuber事業にかかる人件費を削減する必要があるのなら、大勢のVTuberのマネジメントを一人でこなしたり、VTuber事業以外のプロジェクトを兼任したりすることができますが、それらにも限界があります。
発表のなかでは、VTuber事業の縮小で乗り切ろうとしてが、やはり解散という方向性を取ることになったという話もありました。

最低限ギリギリの人数、ギリギリの時間で運営を回してすら赤字になる、というのであれば、事業をたたむしか無いでしょう。
これも、ゼロプロに限った話なのかというとそうではなく、同程度の規模のVTuber事務所はどこも似たような状況だと思います。
すなわち、「ほとんど無人の抜け殻運営と化しながら存続している」か「赤字を出しながら他で補填しつつ存続している」か、あるいは「実は事業の終了を予定している」か。もちろんしっかりと黒字運営している企業もあるでしょうが…。
いちファンとしてはこういうところを邪推してもしょうがないところです。応援するVTuberが居るなら、事務所に多少不満や不安があっても飲み込むしかないです。ファンは。

でもVTuberに”なりたい”人のことを考えると。はっきりと言ってしまうと、不安定な中小事務所に入るぐらいなら個人活動した方があらゆる意味でマシ、と思います。
企業VTuberになりたいのであれば、その事務所に入ればほぼ間違いなく専業VTuberとして生活できる、運営も安定している、という保証がある事務所に限るべき、と思います。

企業がVTuber事業をやるということについて

従来、VTuber事務所は一種の芸能事務所であって、アバターの手配であったり、お仕事の斡旋であったり、その他マネジメントであったりを受けることで、マネジメント料として収益の一部を事務所に納めています。
しかしVTuber事務所はタレント事務所と違い、事務所全体で一つのプロジェクト、という見方をされがちで、VTuber事務所は「全員が稼げている」か「全員が稼げていない」の二極に見えます。
さらには新人デビューしたときの盛り上がりでその後の成長限界が左右されるところもあり、「稼ぎ頭の収入で新人を育てる」というスタイルを取りづらいです。
そういう点でにじさんじを運営するANYCOLORが実施している「バーチャル・タレント・アカデミー」のような、デビュー前の養成施設あるいはジャニーズJr的ポジション、は上手いことやっているなと思います。しかしにじさんじという巨大な稼ぎ頭があるから出来る芸当です。

企業がVTuberを使ってどうお金を稼ぐのか、という事を考えたときに、芸能事務所形式を取れるのは一部の大手だけで、それ以外はもう事務所運営そのものを諦めるべきかな、と思います。
たとえば組織的にアバターを作って売るとか、機材の手配や技術支援をするとか、サークル活動の手伝いをするとか、そういう方向性で個人VTuberからお金を取ることを考えても良いのではないでしょうか。
例えて言うなら、「プロ野球チームを作るのではなく、バッティングセンターを運営したらどう?」あるいは「鉱山を掘る商売よりも、スコップを売る商売をしたら?」ということです。
個人VTuberになりたいけど技術がないから始められない、という人は割といるはずです。

ちなみに既に「ぶいせん」というグループがそういうスタイルで活動していますね。朝ノ姉妹プロジェクトの関係者で運営しているところです。まだ黒字とは言えないようですが…。

もともと、ホロライブもにじさんじも、VTuberの配信システムを開発して一般に配るよりもタレントマネジメントの方が儲かると気付いて方向転換した結果が今の流行ですが、今は逆に、タレントマネジメントよりも他の手段で儲けることを考える時期かと思います。

さいごに

ゼロプロが解散というのは衝撃でした。話を聞いていると良いところも悪いところもある事務所のようでしたが、やはりゼロプロが特別ひどいわけではなく、どこの事務所も似たようなものなのだと思います。
中小事務所は安心して追いかけられない、というのがいちファンとしての素直な感想ではあります。

-バーチャルユーチューバー

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