まえがき
マイナンバーカード、発行してますか?私は持ってます。
さて、マイナンバーカードの普及促進のキャンペーンにSPY×FAMILYが抜擢されて話題です。
マイナンバーカード普及に向けた
SPY×FAMILYキャンペーンを開始します。
フォージャー家のみなさん、よろしく。
特設WEBサイト見てね。https://t.co/cbV3RHKUJT#マイナンバーカード #スパイファミリー #SPY_FAMILY pic.twitter.com/udPt0s8yE9— 河野太郎 (@konotarogomame) December 20, 2022
このキャンペーン、コンテンツもよく出来ていて見ていて面白いんですが、SPY×FAMILYを知っている人は当然考えるツッコミがあります。
その夫婦のマイナンバーカード、偽造だよね?
父は隣国のスパイ、母は殺し屋、素性は当然隠しているはずです。
さて、実際に偽造はできるんでしょうか。
ここでは父、ロイド・フォージャーが偽造できるかどうか検証したいと思います。
見た目はともかくICチップの偽造は難しい
さて、マイナンバーカードがどういうものかは皆様お手持ちの実物を確認頂きたいんですが、プラスチックのカードにICチップが埋め込まれた形をしています。
ICチップは非接触型で、裏面の端子部分を使うだけではなく、NFC対応のスマホなどにタッチすればカードを利用することができますね。
見た目の偽造については簡単です。簡単と言っても私は偽造できませんが、非合法な印刷を請け負う業者がいれば作れてしまうでしょう。
たとえば、全くの他人のマイナンバーカードを盗み取って、カード面だけ書き換えてしまう、などでも良いですね。
問題はICチップです。ICチップも、他人のカードを盗んでホンモノを手に入れることは、スパイなら容易でしょう。
ICチップの書き換えも、ICカードの読み込み機があれば「なにかのデータを書くこと」はできるでしょう。問題はその先、相手を騙せるデータに書き換えられるかです。
ICチップは何をしているの?
キャンペーンのサイトにもある通り、マイナンバーカードにはプライバシー性の高い情報は含まれていませんし、情報をどこかの機関で集中管理していません。
では、マイナンバーカードが偽造されているかどうか、誰がどうやって保証するんでしょうか。
答えは、「公的個人認証サービス(JPKI)」です。これは「地方公共団体情報システム機構」というところが運営する認証サービスで、マイナンバーカードに含まれる電子証明書を使って個人認証を行ってくれるサービスです。
皆さんもカード発行時になにか証明書のパスワードがどうとか言うのを登録したと思います。それです。
この「公的個人認証サービス」というのが、個人の認証を請け負っていて、「このカードが正規に発行されたものか」「このカードの持ち主は誰か」というのを、ICチップの情報を元にオンラインで確認してくれます。
ちなみに、マイナンバーの番号自体で認証しているわけではないので、番号だけ偽造しても何の意味もないです。
つまり、マイナンバーカードは番号が書かれているだけじゃなくて、ICチップの中に電子証明書が入っているんです。(あと、データ用領域もあります。)
さてこの公的個人認証サービスですが、細かい説明は省きますが、電子証明書なので第三者による偽造はほぼ不可能です。
こればかりは、ロイド・フォージャーがいかに優れたスパイでも作れません。諜報機関の技術部門の力を持ってもまず無理です。
なお公的個人認証サービスは、行政機関の利用はもちろんですが、国の認可があれば民間事業者でもサービスを利用することができます。
詳しくはデジタル庁のWebサイトで。
よかった!ICチップが偽造できないので、マイナンバーカードの偽造は不可能ですね!
どんな抜け道があるの?
さて、ICチップが偽造できない程度でロイド・フォージャーが諦めるでしょうか。諦めませんね。父は優秀なスパイなので。
では抜け道を探しましょう。
まずはそうですね、「公的個人認証サービスの関係者にスパイを送り込む」。これでしょうか。
確かにこれなら電子証明書を偽造できる可能性があります。
しかし、このような重要なシステムの場合、不適切な操作はすべてログを取られているでしょうし、送り込んだスパイがバレずに活動するのは極めて困難だと思われます。
次に考えうるのは、「マイナンバーカードを不正取得する」という方向です。
つまり、カードを偽造するのではなく、戸籍や住民票を偽造することで、「ニセの戸籍を使って役所に行って、ホンモノのマイナンバーカードを手に入れる」という方向です。
これは実現可能性があります。
なぜなら、戸籍や住民票が存在しない人、というのは現実に実在しており、時たま社会問題になっています。
そのような人に対して戸籍を発行する手順もあるので、現代日本においても、マイナンバーカードよりも戸籍の方が偽造の難易度が低いです。
とは言っても、戸籍は戸籍で厳重な確認のもと発行されるので、もちろん普通は偽造できませんが。ここでは、「何かの技術でカードを偽造するよりも、役所を騙して戸籍を偽造するほうが簡単」という意味です。
戸籍や住民票を手に入れてしまえば、ロイド・フォージャーは変装をして役所に行って堂々と発行手続きをし、本当は存在しない人間のマイナンバーカードを役所に作らせることができるでしょう。
母のヨル・フォージャーであれば話は更に簡単です。彼女の表の顔は役所勤めですし、そもそもバックが自国そのものです。国が偽造を指示すれば、戸籍もマイナンバーカードも偽造できて当然です。
というわけで、フォージャー家のマイナンバーカードは、「ニセの戸籍を使って役所に発行させたもの」と考えるのが自然ですね。
おわりに
マイナンバーカードはもちろん、戸籍や住民票も、当たり前ですが偽造しないでください。