ポエム 雑記

2022年にメタバースについて思っていること

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特に専門家というわけでもメタバース原住民というわけでもないけれど、コンピュータに詳しめの一般人として2022年1月現在にメタバースをどう捉えているか、という記録を残しておこうと思う。
なにかをまとめるというより、自分の今の考えを書き残したい。

メタバースとは

まず定義について。現状諸説あって、「ヘッドマウントディスプレイを装着して体験するVR SNS」のことだ、という人もいれば、もっと広義に「2D/3D問わずアバターが存在してコミュニケーションが取れる仕組みすべて」のことだという人もいる。
中でもこれからのメタバースを、単なるチャットシステムや3Dゲームと区別する意味合いで「自分のアバターがあり、そこで『経済活動』ができる仮想空間」のことだ、という人もいて、個人的にはこれは良い表現だなと思う。
例えばメタバース内の路上ミュージシャンにおひねりを渡したり、メタバースの中の店で買った音楽を聴いたり、逆に誰もがそれらを売る側になったりできるのが、今盛り上がっているメタバースだと思う。
個人的にはそこにヘッドマウントディスプレイの有無は直接関係しないし、2Dでも3Dでも良いと思っている。これは後述。

メタバース業界は今後どうなるのか

何の話かをはっきり言うと、「メタバース」は複数サービス必要なのか、そして「複数サービスあるなら、どういう相互運用をするようになるのか」ということ。
いまはメタバースが流行語で雨後の筍のように自称メタバースがニョキニョキ生えている。
さてしかし、現代で流行しているサービスを見てみると、動画プラットフォームはYouTube一つあれば十分、チャットツールはLINE一つあれば十分、スマホOSだってiOSとAndroidの2種類しかないし、有料動画配信はNETFLIXかprime videoの2つ、SNSもtwitterとInstagramとtiktokと…おや、SNSは割と複数ある感じだ。
で、メタバースは、複数種類を使い分けたりするものなのだろうか。

自分は複数種類要らないと思う。
言ってしまえば、メタバースの最終型は「インターネット」と同じ位置の存在になることで、一つのインターネットの中に無限の世界があるように、一つのメタバースの中に無限の世界ができる、という方向だと考えている。

メタバースの標準化をする?しない?

ではメタバースは一社寡占ということか、というとMeta社はおそらく一社寡占を狙っていると思う。
しかし自分は先程例に出したインターネットと同じく、「『メタバース』は一つだが、特定企業だけで運営するものではない」という姿が、理想だと思う。独占禁止法もあるし。

それは「メタバースが複数ある状態」と何が違うの、というと……、共通規格で繋がっているかどうか、かなぁ。
ある会社が提供するメタバース世界の中からシームレスに、インターネットのリンクを辿るような自然さで、別の会社のメタバース世界に移動できるなら、それは一つのメタバースってことで良いと思う。しらんけど。

Meta社はどうなれば勝ちなの?

いまGAFA、つまりGoogle, Amazon, Facebook(Meta), Appleという4社が世界的なIT企業として君臨している訳だけれども。そこにMicrosoftを入れてGAFAMと言うかもしれない。
たとえばいまあなたが持っているスマホにはApple製のiOSかGoogle製のAndroidが入っているだろうし、あなたが遊んでいるソーシャルゲームはAmazonが提供するAWS上、またはGoogleのGCPかMicrosoftのAzure上で動いているだろう。YouTubeはGoogle傘下だし、twitterもAWS上で動いているらしい。
つまり、あなたが意識しようがしまいが、あなたはスマホを少しポチポチするだけで日常的にGAFAMのうち2社以上と深く関わっている。

Meta社、つまりFacebookはというと。Facebookそのものか、あとInstagramもMeta傘下だ。もちろんHMDのOculusシリーズもMeta傘下だが、HMDを日常的に使うかというと、そうでない人のほうが多いだろう。
Facebookの主な収益はSNSの広告収入にあるが、SNSの主コンテンツはユーザーそのもので、GAFA他社の収入源と比べて流動性が高い。
そこで、Meta社はメタバースを通じて「全世界の人間が、特に意識しなくても、日常的にMeta社のサービスを使う」という状態を実現したいのだと思う。

であれば、現状の「ヘッドマウントディスプレイを被って楽しむのがメタバース」という風潮は、日常的な利用に耐えないと思う。
3Dテレビがさして流行らずに消えていったように、重苦しい機械を頭に被ってある程度広い部屋の中で楽しむ現状のVRは一般には普及し得ないだろう。これは値段の高い安いの問題ではなく、気軽さの問題として。
現代の価値観で言えばスマホでも楽しめるようなものでなければならない。もちろん将来的にはMeta社がスマホの次に流行るデバイスを開発する、ということになるのかもしれないが。
なんにせよ、家で、カフェで、通学中の電車の中で、どこでも気軽に使えなければ、GAFAの一角の中心事業たりえないと考える。
Meta社がメタバースを中心事業にする、というのであれば、メタバースという概念について、「どこでも気軽にアクセスできるもの」というものへと変化させなければならないだろう。
カフェや電車でも楽しめるメタバース、はヘッドマウントディスプレイを必要としないだろう。それに用いるデバイスが単なるスマホなのか、はたまた「竜とそばかすの姫」のような謎の新デバイスなのかは分からないが。
とにかく、Meta社のサービスや製品を使うことで、メタバースを常に身近に体験できる、というのがゴールだろう。

ブロックチェーンは?

最近、メタバースといえばブロックチェーン、という雰囲気を仮想通貨の界隈が作りたがっている。
正直いらないだろう。
メタバース内で経済活動が行える、というのは重要なことだが、その経済活動の基盤としてブロックチェーンが適しているとは思えない。

理由はまず、「今の仮想通貨は価値が不安定すぎる」こと、次に「ブロックチェーンがなくても既に経済活動が成立している」こと。
そして仮想通貨界隈は非中央集権性をセールスポイントにしているが、メタバース上の決済システムを提供する会社はいくらでも代替が効くだろうし、そこに非中央集権を求める必要はそもそもないと思う。クレジットカードでもペイパルでもQRコード決済でも、ユーザーが信じられる決済方法を選べば良い。それだけだ。
メタバース上の”モノの所有権”の管理をNFTで実現し、売買可能にするという向きもあるが、それだって別に、メタバースの運営会社、たとえばMeta社が自社の責任で機能提供すれば済むのではないだろうか。
そこで「メタバース間をまたいだ所有権の共有が…」というのも、コンビニのATMでどの銀行のお金も引き出せるように、業界全体できちんと仕組みを決めれば済むだけの話だろう。
そもそも、「NFTを持っているとデジタルデータの所有者とみなされる」ということ自体に猜疑的ではあるのだが。「デジタルデータの所有権」というものがきちんと定義できてからの話だろう。

おわりに

いろいろと書いてみたが、結局のところ自分はいまメタバースの住人ではない。さらに言えば現状見えている範囲のメタバースに触れてみたいという思いも少ない。
まだまだ発展途上で出来る事も少なく敷居も高く、正直なところそもそも流行らないんじゃないか、という予感もする。
とはいえインターネットが生まれた当初やスマートフォンが出始めた当初も、一部のコンピューターマニアだけが居るニッチな世界だったのが、今や世界中で老若男女問わず誰もが使う当たり前の文化になっている。
メタバースもそのように、あと10年もすれば世界中で当たり前に使われるようになるのかもしれないし、ならないかもしれない。そうだったらいいのにな、そうだったらいいのにな。

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