2018年11月22日 23時追記
この記事を書いた直後、アズマリムからの告発ツイートがあった。
そこで、アズリムちゃんが星空学園への移籍を強要されていること、それを拒もうとして「魂」の入れ替えまでほのめかされたことが語られた。
この記事は、その騒動が起きる前に書いた。この記事のコメント欄はソコソコ荒れたが、それはまぁどうでも良い。
アズリム騒動の時点では、自分は「星空学園もいい迷惑だなぁ」程度に思っていた。アズリム騒動を引き起こした、「会社の人」と星空学園は直接的に無関係だろうと思ったのだ。
2018年11月22日。今日。星空学園のおこめちゃんが配信をしている真っ最中、正に生放送のただ中で、星空学園の公式ツイッターがイベントの中止を宣言するという異常事態が起きた。
配信者であるおこめちゃん本人には全く告知されていなかった。メンバーのシシちゃんからの通報により発覚した。同かんなちゃんは、私のせいだ、ごめんごめんと謝り続けた。
何が起きてるかわからないと、その場に居る誰もが混乱した。誰にも分からないようだった。
これは信じられない。この行いはあまりにも道義に反している。
いまはっきりと分かる。アズリムはこれと同種の圧迫を受けたのだ。だから全力で、反則に限りなく近い手段を使ってでも拒んだのだ。
そして、いま星空学園は星空学園のメンバーにも同じ仕打ちをしているのだ。自分の目にはそう見える。
いまの星空学園は、とても正常には見えない。
もくじ
前置き
2018年も11月に入り、この一年はバーチャルユーチューバー業界が目まぐるしい勢いで発展したと誰もが思っていることでしょう。
1月時点では「バーチャルユーチューバーは全部見てる」と息巻く視聴者も居ましたが、とんでもない速度で増え続けるVTuberにより業界は一気に供給過多へと陥りました。
軽いフットワークで次々生まれた個人勢、準備に手間取ったもののクオリティの高い3Dモデルで勝負に出た企業勢。
この一年で既に引退したVTuber、解散したグループもいくつも存在します。
そんな中、2018年6月という比較的遅い時期に活動開始したにも関わらず、いま大きく活躍している「星空学園」という団体がいます。
星空学園とH(アッシュ)についての簡単な説明
「星空学園」が運営母体で、そこに所属するグループが「H(アッシュ)」です。
アッシュのメンバーは3人。
芸人基質が強くてピアノも弾けるおこめちゃん。現在チャンネル登録者数1万7千人。
FPS/TPSゲームがやたら上手いかんなちゃん。現在チャンネル登録者数12万人。
ギターの弾き語りができてよく笑うシシちゃん。現在チャンネル登録者数1万5千人。
3人組ユニットがそれぞれチャンネル持って、全員が1万人超えというのはなかなかハイペースです。
バーチャルユーチューバーと3階層のファン
バーチャルユーチューバーが活動を始めるとき、最も分かりやすい指標はチャンネル登録者数です。
チャンネル登録者数というのは見た目にはただの数字ですが、実際にはそれぞれ一人ひとりの人間です。
ここで、バーチャルユーチューバーを取り巻く環境を3階層でモデル化してみます。
はい。こうです。あるVTuberを「自分」として、3階層です。
既登録者
自分のチャンネルに既に登録している人。
この層に居る人がすなわち「自分のファン」。何か動画を出すと反応してくれる人たち。
他VTuberのファン
他のVTuberを見ているけど、自分のチャンネルは登録していない人。
潜在的にファンになる資質がある人たち。
VTuberに興味のない層
他のVTuberも見ていない人。
VTuberの存在を知らなかったり、知っていてもわざわざ見ていなかったりする人たち。
階層ごとの戦略
星空学園の何がすごいって、上記のモデル3階層それぞれに対してきちんと戦略が組めていて、全階層にしっかりアプローチしているというところなんですよ。
それぞれ少しずつ見ていきます。
既登録者への戦略
既登録者は気を抜くと離れていく可能性があるんですね。なので、「とりあえず登録してみた人」を「熱心なファン」にまで育てないといけない。
- 定期的なコンテンツ提供
- 生配信でのコメントへの反応
- Twitterへの頻繁な投稿
あたりが大事で、そこをきちんと行っているのがまずエラいですよね。
他VTuberのファンへの戦略
バーチャルユーチューバーがファンを集めるとき、真っ先に目が行くのがこの層ですよね。
他VTuberのファンに対して、きちんと目に映る位置に居ることがなによりも重要です。
何はともかく知ってもらう必要がある。
- 他VTuberとの積極的なコラボ
- Youtube広告を使ったプロモーション
によって、「まずはユーザーの目に触れる」というアプローチをしっかりとこなしている。
星空学園の渉外活動はなかなか大したもので、頻繁にYoutube広告を出したり、数多くのVTuberにコラボの申し入れをしたりと極めて積極的に動き回っています。
VTuberに興味のない層への戦略
実は星空学園がスゴいな、と思ったのがここの層へのアピール。
というのも、ふつうはここまで目が行かなくて、他VTuberのファンを取り込むところまでしか考えが及ばないと思うです。
でも、この層を無視したらVTuber同士での客の奪い合いになるんです。
しかも潜在的な人数で言えばこの層が一番数が多い。当たり前ですけど。
そこで、「自分たちの力でVTuberファンを新しく呼び込んでこよう」という気概を見せている星空学園ってスゲェな、って思うんですよ。
ではVTuberに興味がない層をどうやって取り込むのか?
「キャラクターとか関係なく、見たくなる要素がある動画」で取り込むんです。
こういった動画によって、まずはとにかく動画を見せる、一本の動画で新規層を引っ掛けてくる、というのがすごく良く出来た戦略だなー。と思ったのでした。
特にかんなちゃんのゲームプレイ動画は国内外問わず大きく話題になり、チャンネル登録者数を一気に十万人台へと持ち上げる要因になりました。その結果、ゲームプレイ担当とキャラクター担当が別人なのではないかという疑惑が生じて荒れたりもしましたが…。
上記に挙げたのは星空学園に所属するメンバーの個人的なスキルに依存するものなので、誰もが同じ事ができるわけではないです。
しかし、「動画再生数が稼げる一芸」があれば、誰もが同じように新規層を取り込める…はずです。とにかく、他のVTuberがまだ作っていない種類の動画を作る。新しいファンを外から取り込むことが大事です。
おわりに
企画が長く続いてくると、シリーズもののゲーム実況動画とか、グループがきゃいきゃい騒いでるだけみたいな、ファンしか喜ばない動画を作ってしまいがちです。
やはり「どの動画から見始めても楽しく見れる」というのが人気のポイントであると思います。
VTuberひしめく2018年11月、キャラクターに魅力があれば黙っていてもチャンネル登録者数が増える、という時代はもはや過去のものです。他のVTuberと同じことをやっても、今更流行らないんです。
VTuberの成功は、確固たるスキルと、きちんと戦略立てたプロモーション活動によって掴み取る時代へと変わっているのだなぁ、と、そういうことを思う次第ですね。